スペルト小麦と「ベーカリーハイジ」の取り組み
スペルト小麦と「ベーカリーハイジ」の取り組み
岩崎農園さんとの出会い
オーナーシェフの宮下です。
私は毎年北海道へ小麦の視察に行っていますが、あるご縁があり夕張郡由仁町でスペルト小麦を栽培している岩崎農園(岩崎博之さん)に出会うことができました。
岩崎農園さんは可能な限り農薬を減らしたり、伸びすぎないように追肥を調節したり、他の小麦とまざらないように収穫、乾燥は専用の機械を用意したり、 スペルト小麦に対する苦労や工夫を話してくれました。
私たちは岩崎農園さんの想いに共感し、スペルト小麦パンづくりに挑戦しました。


スペルト小麦パンづくりに挑戦
最初は小麦粉中のグルテンが少ないためか、性質が違うのか、ふんわりもちもちのパンは何度やってもできません。今までのパンの製法で作っても今までのようなパンは作れませんでした。 苦悩の日々は続きます。
ベーカリーハイジでは全粒粉を自社の石臼で挽いてみたことで進展
「スペルト小麦の原麦を取り寄せて石臼で挽いてみたらどうなのだろう?」挽いてみたら、外皮の部分が多く粗挽きでとても美味しそうに見えました。
もしかしたらスペルト小麦は、全粒粉が美味しいのかも・・・
こうして1年以上、試作を繰り返して、ハイジがつくるスペルト小麦の全粒粉パンが少しずつ前進していきました。


もっとスペルト小麦の事を知りたくなって、専門家にその歴史を聞いてみました
スペルト小麦って聞いたことあるけど一般的な認識やインターネットでの情報はこのような感じだと思います。
古代小麦、小麦の原種、品種改良されていない、アレルギー反応が少ない、グルテンフリー・・・
そこで帯広畜産大学、環境農学研究部門准教授にお話を聞いてみました。
「置いてけぼりにあった?」スペルト小麦
スペルト小麦は、ヨーロッパでは中世まで主要な作物として栽培されていましたが、1900年代〜1970年代まで限られた地域でしか栽培されていませんでした。
その間、農業技術の発展や食習慣の変化に伴って、栽培しやすく、収量性の高いパン小麦に徐々に置き換えられていき、パン小麦はよりグルテンが強くパンづくりに向いた品種改良が進められていきます。
そしてその品種改良から、「置いてけぼりにあった」スペルト小麦が、1970年頃から有機健康志向の強いドイツで再び広がり始めたのです。
スペルト小麦は小麦アレルギーを発症しにくいと言われることがありますが、まだまだ科学的な根拠が乏しいのが現状です。グルテンは弱く性質が違うけれどグルテンフリーとも言えません。
スペルト小麦にも多様な品種があり品質や栄養価も含めて今後も研究が進められていくでしょう。


スペルト小麦の魅力はその品種改良されていない飾り気のない美味しさです
やさしいグルテンだからこそ、ほろっと口どける優しい食感。
ふすまや胚芽などの外皮の素朴な美味しさ。
これからも私たちベーカリーハイジはスペルト小麦でパン作りをすることでスペルト小麦の魅力を伝え続けていきたいと思います。